DIS IS IT!!DIS IS IT!!
アーティスト:キリコ
術ノ穴(2010-09-22)
おすすめ度:4.0
販売元:Amazon.co.jp
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とにかく、キリコ自身と、彼の見るヒップホップが、
曝け出された作品という印象です。





音楽的な側面としては、
著名アーティストの実名が飛び交う冒頭の「DIS IS IT」や、
先行EP「極悪JAZZ」などに代表されるように、
ジャズをはじめ黒人音楽のエレメントを意図的に多く組み込んだトラックと、
DJ YEWプロデュースの「哀愁GRIME」「プチャヘンザ!」に代表されるような、
GRIME色の強いトラックが大勢を占め、
これらがキリコの持つヒップホップ観ではないかと思われます。

つまりジャズやファンクに基づくブラックミュージックであり、
グライムのように、ストリートの会話から成り立つ音楽であると。

この点には非常に共感を覚えます。
そして、そうでないアーティストをDISしまくってるのが
今回のアルバムのようです。


ただ、それだけで終わらないのが、この作品の最大の魅力だと思います。
それは、「レトロなお家のレトロなパスタ」「ENTER MY DREAM」「SLOW JAZZ」に代表される、
穏やかなナンバーや物悲しいナンバーの完成度の高さだと思います。

前作の「RECORD SURPLUS」「鏡に映る現実」などを聴いても感じることですが、
メロディアスなトラックに、キリコの声はマッチすることがあるということ。

特に「ENTER MY DREAM」は、CDに収録されたバージョンは、
Michitaのトラックに載せ、EPには収録されていた女性ボーカルは抜かれており、
リリックの内容同様に、剥き出しのキリコの感情が伝わってくるようです。


 
そして、こういった曲があるからこそ、
このアルバムの真のリアルさが感じられるわけで、
自身も含めて曝け出すというキリコの姿勢が浮かび上がってきます。 

音楽的にも、リリック的にも、またアチチュード的にも充実した作品だと思います。

韻を踏んでいないというスタイルに批判はあるようですが、
今回は自分的には、その点に関してはどうでもよくなってしまいました。
言いたいことを言い切るために、
敢えてアートフォームの縛りを破ったという風に思えました。 




蛇足ながら、
極悪JAZZの歌詞を引用すると、

午後のニュースにラップスター 本名と年齢が表示される
「HIPHOPの印象が悪くなる」とあせる優等生ラッパーはすぐに 色あせる
気を回せるような立場じゃないだろ 無名ラッパーがブログでスピット? fuck! 

こういう記事もあったので、なんか自分のことみたいに思えてきて、
ヤベーと思いました。 
いや別にラップはしてませんが。